長年、総合病院の看護師として働いてきた母は、10数年前に糖尿病を患っていました。このことから母が「毎日食べられるパンを焼きたい」と思いが募り、母のための「ふすまパン」を作り始めました。

　当時はレシピもないし、材料もすぐには揃えることが出来ず、私の理想の風味と形の「ふすまパン」の実現には5年近くかかりました…。1年を通して「理想通りのふすまパン」が焼けるようになったと確信できたある日…、意を決して私は母に、

 　と、話しました。母はその日以来、今まで食べ比べていた他店の「低糖質パン」を一切やめ、私の焼いたパンだけで生活するようになりました。

　そして、告げられたことは、「パンは失敗したものでも全て買うから！その代わり、私が毎日食べられるようにパンを焼きなさい。身体と体調がどう変化していくかをちゃんと伝えるから」というものでした。

 　私はその言葉を胸に、パンを焼き続けました。そんな中、出会ったのが豊橋市石巻で栽培されている『スーパーもち大麦粉』でした。屋号は「ふすまに屋ベーカリー」ですが、現在焼いている「ふすまに屋ベーカリーのパン」、実は「ふすま粉」はほとんど入っていません。当初は「ふすま粉」から始まりましたが、「スーパーもち大麦粉」と出会ったことで道が明るく大きく見えてきました。

　何年もかけてできた「ふすまパン」を、「ふすまに屋ベーカリーのパン」として大きく進路変更することに、正直、躊躇しましたが…スーパーもち大麦のすばらしさを知ったからには、オープンに向けて今！やるしかない！と再度、試行錯誤を繰り返し、最も理想とする「スーパーもち大麦パン」＝「ふすまに屋ベーカリーのパン」が完成しました！

　現在も母は看護師として元気に働いています！

　一人でも多くの方に、幸せになってもらえればという思いを忘れずに、大切にこれからの未来を育てるふすまに屋ベーカリーのパンを焼き続けたいと思います。

ふすまに屋ベーカリー店主　菅沼